■ご挨拶:足下を固め、更なる高みを目指して


神戸大学 加藤弘之

  アジア政経学会は、会員数1300名を超える名実ともに日本最大のアジア研究者の集まりです。年1回秋に開催される全国大会では、会員諸氏による数多くの自由論題報告と並行して、さまざまなテーマで複数の分科会が実施されるとともに、理事会で綿密に練られた共通論題に基づいて、研究手法や研究対象地域の異なる論者が活発な討議を行います。また、本学会が年4回発行する「アジア研究」は、全国大会や各研究部会での成果を発表する場であると同時に、意欲的な若手研究者の論考を掲載する場として高い評価を得ています。
 この10年間のアジア政経学会の発展を振り返ると、財団法人にふさわしい組織機構への転換、財務体制の強化、学会誌の全面改定、査読体制の確立と書評委員会の組織化、研究集会の内容の充実、HP等を利用した広報活動の活発化など、天児、石井、末廣、国分元・前の各理事長の下で、広範囲に及ぶ改革が着実に積み重ねられてきました。その結果、今日の本学会の隆盛がもたらされたと深く実感しています。
 私に課せられた最大の任務は、今日の本学会の隆盛をいかに長く維持するかにあると考えています。そのための方策の第一は、研究集会のいっそうの充実をはかることです。全国大会の参加人数はのべ300人前後と安定していますが、1300人規模の学会としては少し寂しい気もします。関連学会や研究機構との共催による国際シンポジウムの開催など、研究集会の魅力をいっそう高めるよう努力します。第二は、学会誌の充実です。増頁による発表機会の増大、投稿から掲載までの期間短縮の実現に努力します。また、すぐに実現はむずかしいですが、長年の悲願でもある英文年報の発行可能性を前向きに検討したいと思います。第三は広報の強化です。会員諸氏の情報発信・交換のプラットフォームとなるように、HPの充実をはかります。第四は、国際交流のいっそうの推進です。全国大会での国際セッションを拡充するとともに、アジア諸国の政治・経済学会や欧米のアジア研究学会との研究交流を進めます。
以上のように、私ができること、あるいは私がすべきと考えていることは、これまでの理事会が追求してきたことの延長線上にあります。追い風が吹いているときに奇策は不要だと考えるからです。しかし、いまが一番と思った瞬間が退歩の始まりだという緊張感も忘れないようにしたいと思います。若手・中堅中心の新業務担当理事と協力しつつ、学会の更なる発展に努力する所存です。会員諸氏の学会活動への積極的な参加を心から期待しております。

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