■ご挨拶:アジア政経学会の未来へ向けて――学会設立60年後の新しい一歩

立教大学 竹中千春

 2013年にアジア政経学会は設立60周年を迎えました。1953年の学会設立以来の歴史の重みを感じつつ、2013年6月、60周年記念全国大会を所属先の立教大学で開催させていただきました。参加した人々が共有していたのは、60年の輝かしい歴史を受け継ぎ、それをいかに未来へと渡していくべきかという、一種の使命感ではなかったかと思います。
 その場におられなかった方々のために、その様子をかいつまんでお伝えします。学会設立60周年シンポジウム第一部では、大先輩の岡部達味会員と渡辺利夫会員がアジア研究の歩みについて講演されました。第二部パネルディスカッション「アジア研究における『ボーダー』の意味とその変化」では、司会の国分良成会員の下、石井明・末廣昭・園田茂人会員が「ボーダー」の視点からアジア研究を論じられました。まさに「一人一人にアジア研究の歴史あり」。懇親会では、山田辰雄会員と中兼和津次会員のお話を伺いました。
翌日の国際シンポジウム「境界を越えるアジア研究 どこから来たか、どこへ行くのか?」では、ブロスガー、イレート、ヴァナイクの三氏と高原明生会員がそれぞれのご専門の立場からアジア研究の過去・現在・未来を論じられ、平野健一郎会員と清水展氏がアジア研究の歴史的な立ち位置を包括的に論じられました。
秋には、10月東日本大会(早稲田大学)で共通論題「中国の外交と近隣諸国」、11月西日本大会(大阪市立大学)でモーリス=スズキ氏の講演会「日本と朝鮮戦争――越境的視点」とそれを受けた討論会が開催され、いずれも盛況のうちに幕を閉じました。以上、シリーズで企画した60周年記念事業については、その成果をより多くの方々に知っていただくために、現在、『アジア研究』特集号にまとめる作業を行っています。
 さて、アジア人々の織りなす政治や経済は、ダイナミックでエネルギッシュに展開し、世界中が成長するアジアに熱い視線を送っています。そういうアジアをどう認識すべきか。こうした今日的な問いの答えを探しているのは、どうも私たちだけではないようです。最近、海外のアジア研究諸学会から、学術交流の要請が次々と届いています。アジア政経学会に、国内のみならず、国外からも大いなる期待が寄せられているのです。
 そうした中、2013年4月1日、本学会は外務省管轄財団法人から、新公益法人法に基づく一般財団法人に生まれ変わりました。高原明生・金子芳樹両理事長の指揮の下、澤田ゆかり・高橋伸夫・山本信人・田村慶子会員、お手伝いいただいた佐和田成美さんなど、多くの方のご尽力の賜です。今、私たちの学会は、還暦を期に若い命を授かりました。いよいよ次の60年に向けて、新しいアジア政経学会の一歩が始まります。
 そうした課題を胸に、2013-2015年期、大先輩や評議員の皆様の強力なご支援を頼りに、24名の理事一同、一千人以上の会員の乗るアジア政経学会という大きな船を航行させ始めました。意欲的な企画の研究大会や定例研究会を開催していくこと、『アジア研究』を着実に刊行していくこと、『アジア研究』のインターネット上の公開を再編すること、国際交流を活発化させること、学会賞を中心に若手研究者の研究活動を応援していくこと、会員間のコミュニケーションを豊かにし、学会の社会的な発信を強めるために学会HPやニューズレターを充実させること。夢はどんどん膨らみます。
 こうした夢を一つ一つ実現するために、会員の方々の声に耳を傾けながら、みんなで力を合わせて私たちの船を前進させたいと思います。私自身は大変な力不足ですが、すばらしい仲間とともに力を発揮できるよう、ファシリテーターとして、あるいはモデレーターとして力を尽くしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。  

金子芳樹前理事長挨拶へ
高原明生前理事長挨拶へ
加藤弘之元理事長挨拶へ
国分元理事長挨拶へ
末廣元理事長挨拶へ
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