「2022年マレーシア総選挙を考える」のご案内 |
2022年11月19日に投開票が予定されているマレーシアの第15回総選挙に関する研究会を開催します。 マレーシアでは、建国から一貫して首相を出してきたマレー人政党UMNOを中核とする政党連合・国民戦線(BN)が前回(2018年)の総選挙で敗北して、希望連盟(PH)が政権に就きました。しかし、国会議員の政党移籍や政党間の連立の組み換えにより、総選挙を行うことなく、この3年間に3回の政権交代が生じて今日に至っています。 希望連盟から分裂した国民同盟(PN)との連立によって国民戦線が政権に復帰しましたが、国民戦線と国民同盟の対立が深まり、今回の総選挙ではほぼ全ての選挙区で与党候補者どうしが議席を争うことになりました。これに政権奪回を目指す希望連盟が加わって三つ巴の戦いとなっています。 国民戦線と国民同盟の連立によって多数派民族であるマレー人がほぼ全ての閣僚を占める政権が成立したことで、国内の主要な民族と地域がいずれも政権に参画するという建国以来の慣行が破れ、マレーシア政治の大きな特徴だったパワーシェアリングが今後どうなるのかが注目されます。とりわけ国民の約4分の1を占める華人は、政権からの排除が続くリスクを負ってでも政権奪回に賭けて希望連盟に票を投じるか、それともマレー人への従属的な地位を受け入れた上で政権への参画を求めて国民戦線または国民同盟を支持するかという岐路に立たされています。 また、半島部マレーシアのそのような政治状況から切り離されたボルネオ島のサバ州とサラワク州では、これまで州ごとの地域政党から州政権が選ばれ、州与党が半島部マレーシアの与党連合と連立してきました。半島部マレーシアに基盤を置く国民戦線、国民同盟、希望連盟のいずれも単独で過半数が得られないだろうという見通しのもと、サバとサラワクの地域政党が連携相手をどのように選ぶかが今回の選挙の帰趨を決める要因として注目を集めています。 民族と地域の多様性を積極的に認め、民族と地域を区切ってそれぞれの代表が権力を共有するというマレーシア政治の仕組は、現在どのような状況に置かれ、これからどのようになっていくのでしょうか。この研究会では、詳細なデータをもとに選挙結果を綿密に分析するのではなく、どのような点に着目して今回の総選挙を見るのか、そして総選挙後の展開を含めたマレーシア政治の行方をどのように見るのかについて、3つの話題提供をもとに考えてみたいと思います。 話題提供 JAMS会員でなくてもご参加いただけます。 [掲載期日] 2022年11月25日まで |